私もかつては都会暮らしだったけど田舎暮らしに憧れていたわけではなかった
東京や大阪など都会の街中に住んでいると、一度は田舎での生活に憧れるかもしれません。まわりを山々に囲まれて、空気がとても澄んでいて、隣との家の感覚は数百メートル離れていて、日中でも虫や鳥の声がずっと響いていて、騒音もなく、満点の星空が見える夜はまるで天然のプラネタリウム。
こんなところに住んでみたいと思ったことはありませんか?
「憧れはするけど、そう簡単に今の生活を変えることはできないし…。」「旅行で行ければいいかな。」と思うのが大半だと思います。私もそうでした。
しかし私は今、北海道の山の上(標高約370m)で暮らしています。この記事の冒頭2行目~3行目は私が住んでいる環境をそのまま書きました(笑)元々私はこんな場所での暮らしに憧れていたかというと、そんなにそこまでの憧れはありませんでした。私自身かつては大阪の中心部にある会社へ通う普通の会社員だったのです。そんなかつての私が今のような暮らしを送るなんてことは想像もしていませんでした。
ではなぜ、今のような環境で暮らすことになったのか、会社を辞め、現在のような暮らしは結果どうなのか、などをお話ししていこうと思います。
きっかけは勤めていた会社を辞めたことから始まった
毎日の激務の中にもやりがいを感じていた
かつて私が勤めていた会社は、東証一部上場しているしっかりとした会社でした。会社の体制や理念も理解できたし、どうすればより良くなるかということを常に考え前向きに成長している会社でした。大阪市内ではそこそこ有名だったその会社の社員であったことは、私にとって誇らしくもありました。上司も同僚も後輩も仲が良く、お酒の席ではいつも無礼講になる雰囲気が私はとても好きでした。
そんな何の問題もなさそうな会社ですが、唯一不満だったのが激務だったことです。
もちろん個人の能力の差もあるし、担当している仕事の内容でもかなり変わってきますが、残業はしょっちゅうでした。しかもサービス残業。店舗での販売員をしていたので、商品の発注、品出し、接客、問い合わせの対応、納品伝票の整理など本当に1日1日が一瞬で終わってしまうほどの忙しさでした。毎日毎日が本当に激務でやってもやっても仕事は終わらなかったけど、毎日は楽しかったしやりがいもありました。
2つのどうしても我慢できなかったこと
①本当に苦手な上司がいた
人間関係は本当に良かった会社だったのですが、私は直属の上司とだけはそりが合わず、毎日毎日がかなりのストレスでした。話す必要がなければ朝の「おはようございます」と、帰りの「お疲れさまでした」だけの日もありましたし、その上司の半径1メートル以内にいたくないほど苦手な存在でした。
毎年、年に1回東京の本社の人事部から今の職場環境は問題ないか?というような内容の手紙が届きます。私は何度かその手紙にかつての職場の上長の不満を書いたことがありました(何度か人事異動していたので)。すると、おそらく本社の人事部がそれを見て、現場の部長クラスあたりに実状を確認し、改善する方法はないかと検討するのでしょう。そしたら必ず私か上長どちらかが異動になるんです。そのときにいつも私は、会社はこんな下っ端社員のこともちゃんと考えて助けてくれるんだとありがたく思っていました。なので、もちろん私は今回もその苦手な直属の上司のことをその紙に書き提出しました。
しかし、何も起こりませんでした。
いつもの人事異動の時期に、私も上司も異動はありませんでした。
絶望ですよね。
いや、あまりにも何回も言い過ぎたかな、とか、さすがに課長クラスを異動させるのはそう簡単ではないよな、とか、じゃあなんで私が異動にならないんだろう、とかめっちゃいろいろ考えました。でも私の限界はもうすぐそこまできていたので決めたんです。会社はもう助けてくれないのなら、私が辞めるしかないと。
余談ですが、その上司は私が退職したすぐあとに、子会社への異動が決まっていたそうな。会社はちゃんと考えてくれていました。ただ時期がずれただけだったんですね。
②休みの日に私の電話が鳴る
私の唯一の趣味はスノーボードをすることでした。当時は休みのたびに日帰りで兵庫、滋賀、福井、岐阜などに滑りに行ってましたし、そのシーズン中に何回か泊りがけで長野や新潟などへ遠出することもありました。そのときだけは普段の仕事のことは忘れて、仲間たちとスノーボードをすることが本当に楽しくて仕方がありませんでした。
休憩中にふと携帯を見ると、なんと会社からの着信があったのです。青ざめますよね。わざわざ休みの人間に電話をかけてくるということは、よっぽど何か重要な要件があったと思いますよね?無視したいけどそんな勇気はなく、頭を仕事モードに切り替えて考えられる要件をフル回転させて絞り出す。そして恐る恐る電話をかけなおす。
ええーーーーー、そんなことーーーー?
愕然としました。そりゃ多少はややこしいことだったかもしれませんが、私なんかよりもよっぽど経験も知識もある上司がいて、なぜあなたがそれを私にわざわざ電話して聞く?というような内容でした。大したことじゃなくて安心しましたが、楽しかったスノーボード旅行が一気に台無しになったのは言うまでもありませんよね。
毎日の激務を必死にこなして、ようやく迎えた仲間たちとのスノーボード旅行。
この会社は私の唯一の楽しみの趣味の時間までも奪うのか…。
もう私の心は完全に決まりました。
それから程なくして、私はその会社を退職しました。
冬は北海道のスキー場・夏は地元で派遣社員
雪山に篭るならやっぱり北海道!
会社を辞めると決めてから私は秘かに計画を立てていました。どうせ会社を辞めるなら、雪山に篭りたい。雪山に篭るなら今まで行ったことない場所へ行ってみたい。
北海道だ!!(笑)
そう、私は秘かに北海道での雪山篭りの計画を立てていたんです。全部逆算して考えていくと、一番大事なのは12月のボーナスをもらうこと(笑)となると、12月10日過ぎまで実際に勤務することになるから、店長(部長)への報告が2か月前だとして、10月の中頃。となると、その前の課長への報告が10月初め頃。となると、最初に報告する係長へは9月末頃かぁ。じゃあそれまでにはどこのスキー場に行くかを決めておこうと思い、夏頃に北海道での雪山篭り経験のある仲間に話を聞いていました。
いろいろ考えたけど、初めてだしよくわからないから、その友達と同じスキー場に行くことを決めて履歴書を送り、着々と準備を進めていったのです。
冬は北海道・夏は地元で働くという生活が3年続く
そしてついに人生初の北海道でのリゾートバイト生活が始まりました。リゾートバイトについては別記事で詳しく紹介しますので、そちらもご参考ください。
勤務開始日が少し遅かったので、リフトかホテルのレストランしか空きがないと言われ、私はレストランを選びました。これがまた激務でした(笑)基本的にリゾートホテルでのレストランの仕事は夕食がメインであり、通常はスタンバイ業務のために昼から出勤します。そしてそのまま夜22時、遅いときは23時頃まで勤務なんてこともよくあります。しかし、レストラン業務には朝食当番というものがあり、私が働いていたホテルは全部のレストランの従業員で順番に朝食当番を回すというものでした。なので、週に2~3回は朝食当番が回ってくるという、なかなかの激務でしたよ。だって、前日の夜は普通に23時頃に帰ってきて、次の日の朝5時半には出発ですもん。それを週2~3回もやるんですから、まぁ寝不足は続きますよね。なかなかのハードワークですが、お金はめちゃめちゃ稼げます。使う時間はあまりありませんけどね(笑)
たまたま私が勤務することになった日本料理屋さんは、一緒に働いていたスタッフもマネージャーもみんないい人たちでした。板前さんたちも最初こそ厳しかったものの、こっちも必死に頑張っているのを見てだんだん認めてくれるようになり、最後にはみんな本当に仲良くなり、めちゃめちゃ楽しく働かせてもらいました。
人生初のリゾートバイトがとても楽しく、かなりの好印象だったので、次の冬も絶対に行こうと決めていたんです。
なので、夏は地元で適当にバイトや派遣で働き、冬には北海道へ再び・・・という生活を3年ほど続けました。ちなみにレストランでの勤務は最初の年だけで、そのあとはずっとスキー場のほうで勤務することになります。
ついに1年中北海道での生活が始まる
夏の北海道を体験してみたい
北海道での4回目の冬が終わろうとしているときに、春も夏もここで過ごしてみないか?と社員の方からの提案がありました。ぶっちゃけ、夏の北海道がどんなかんじなのかめちゃめちゃ興味があったし、毎回毎回の引っ越しもかなり面倒だったので、そのまま残ることにしてみました。ちょうど4回目の冬が始まるときに大阪から車を持ってきていたので、夏の北海道を自分の車で堪能できることにワクワクもしていました。
スキー場というのは特殊な営業形態で、もちろん冬が一番メインなので冬の営業期間中は休みも少なく勤務時間も長くなるのですが、冬の営業が終了するとしばらく休みになります。私が働いているスキー場は5月6月はそれぞれほぼ半月分公休があるので、一番いい時期の北海道を満喫できるのがめちゃめちゃラッキーだと思いました。これが、今もずっとここで暮らしている理由の一つです。冬は覚悟を決めて必死に働く。そのかわり、春夏はのんびり過ごすというメリハリも魅力の1つかもしれません。
本州(大阪)とは比べものにならないほどの気候の良さに感動
これが、私がずっとここで暮らす理由のなかで半分以上占めていると言っても過言ではありません。
北海道は春が長く夏は短い。そして秋が長く冬も長い。というように、私が最も苦手な夏が究極に短いのです!夏の夜、暑くて寝苦しいという日は長くて2週間ほど。もちろん部屋にクーラーなんかありませんよ。確かに日中は暑いですが扇風機でなんとかしのげるぐらいの気温で、夜は意外と涼しくなります。ここが特に山の上というのもあるので夜は涼しいですが、街中だともう少し暑いですね。3~5度変わります。そしてお盆が過ぎると途端に秋が訪れます。なので、日中暑くて夏だなーと感じるのは7月半ば頃~8月お盆終わり頃までの約1ヶ月間ぐらいで、特に寝苦しいのはそのうちの2週間ほどです。そして10月には雪も降るので、もう冬が始まります。
というようなかんじで、北海道の夏は本当に短いですがとても過ごしやすいです。湿度も本州よりも断然低いので究極の暑がりの私にとっては最高の気候なのです。これを知ってしまうともう本州の夏はごめんですね。帰れません(笑)
春の雪解けの解放感、夏の北海道の魅力、秋の北海道の魅力はまだまだあります。別記事で紹介していますので、ご参考にしてください。
豪雪地帯での冬は甘くない
一年中北海道にいるということは、冬の厳しさも受け入れなければいけません。私は数回北海道の冬を経験しているものの、初めの3回は自分の車を実家に置いてきていたので、ここでの移動手段は会社が提供してくれるバスでした。通勤も街への買い物もバスで送り迎えしてもらっていました。しかし、これでは本当の「北海道で暮らす」という現実を知ることはできないと、私がここでの移動手段に初めて自分の車を利用することで気付きました。
バスで送り迎えしてもらってると、毎朝の車の雪下ろし、雪道の運転、アイスバーンの恐怖、積雪やばくてスタックしてしまう絶望感、運転中突然ホワイトアウトになる恐怖などなど知るはずもなく、初めて自分の車を移動手段に利用することで気付いたことです。
本州での暮らしでは経験するはずもない日常です。しかし雪とともに生活していくことは、ここでの暮らしで避けることができない現実です。そして、車がないとここでの生活はほぼ不可能でしょう。なんせここは山の上。一番近い街まで行くのに最低でも車で25分。冬だともっと時間がかかります。雪道の運転、雪が当たり前に降る土地での生活に慣れていない本州の人には、なかなか厳しい試練でしょう。私も4回目の冬を越して、ようやく慣れてきたほどです。
しかし、この厳しい冬を乗り越えて迎える春というのが、なんとも清々しく晴れ晴れした気分でとても気持ちのいいものなのです。私は特に仕事柄、冬が終わっていくにつれて忙しい冬の営業も終わっていくので余計に晴れ晴れしい気持ちが強くなるのもあります。
私のここでの暮らしは、季節も仕事もメリハリがあるのが魅力なのかもしれませんね。
まとめ
なんの不自由もない都会での暮らしから段階を踏んで、私は北海道の標高約370mの山の上での田舎暮らしを始めることになりました。
都会育ちの私にとっては、ここでの暮らしはやはり不便です。車がないとまともに生活できません。歩いて3分のところにコンビニなんてありませんよ。冬の寒さ、生活のしにくさは半端ないし、仕事もめちゃめちゃ大変。
ただそれ以上に、夏の気候のよさ、空気の良さ、静かな生活環境や広い北海道のさまざまな魅力が勝って、今もずっとここにいるのかもしれません。
田舎生活といえど、日本にはいろんな場所に田舎があるわけだから、ここでの暮らしが田舎生活の全てではもちろんありません。むしろここのほうが難易度高めかもしれませんね。
もしこれから田舎暮らしを始めようかどうかと検討しているのであれば、まずはどこで暮らしてみたいかを決める。動機なんか人それぞれで、私なんか北海道のスキー場でスノーボードしたいというのがそもそものここを選んだ動機ですから(笑)場所が決まればまずそこでリゾートバイトをすることをお勧めします。なぜなら、リゾートバイトにはだいたい寮がついていますので住む場所をまず確保できるのと、寮費はたいがい無料~2万円以内と格安なため、給料をほとんど自分のために使えます。そこで生活している間に、そこでの暮らしがどんなものなのかをだいたい把握できますので自分にあってるかどうかの判断もしやすくなるでしょう。本当に気に入ればそこで永住なんてこともよくある話ですね。
ぶっちゃけ私はここに永住することは今のところ考えていません。冬の生活が厳しすぎるからです(笑)なので、私の理想は夏は北海道、冬は大阪での生活ですwこれが実現できれば私にとってかなりのストレスフリー生活が待っています。
みなさんも自分の理想の場所、土地で生活できるようにいろんなところに行ってみてください。旅行よりはそこで生活してみるほうが、本当の意味で理想かどうかわかると思います。
現実的に今の生活を変えれないという方はたくさんいらっしゃるでしょう。しかし、今でなくてもいつかできるかもしれません。私も含めて、いつか理想の土地で理想の暮らしをしたいものですね。そんな日が来ることを信じて・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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